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夜空を見上げ、星々を結び、物語を生み出してきたのは、古代ギリシャ人だけではない。現在私たちが使用する神話に基づく星座のイメージは、紀元前2,000年前後にメソポタミア(現在のイラク)で考案されたとされる。
古代ギリシャでは、自然の中に神の存在を見出し、無数の神話が語り継がれた。そうしたギリシャ神話の英雄や王家の物語が、東方から伝わった星に関する知識と結びつくことで、後の西洋世界における星座体系の定着に大きな役割を果たしたと考えられている。
Category : 歴史
Date : 2025.11.05
美しい星座絵でたどる 四季の星座神話(沼澤茂美・脇屋奈々代/誠文堂新光社)
ときめく星座図鑑(解説:永田美絵、廣瀬匠/山と渓谷社)
古代ローマの数学者・天文学者プトレマイオス(Claudius Ptolemaeus、83年〜168年頃)は、2世紀に地球を中心とした宇宙モデル(天動説)を数学的に説明した『アルマゲスト』を著した。この中で彼は、ギリシャ世界で用いられていた48の星座を一覧として整理し、星の位置をカタログ化。この書はギリシャ語からアラビア語に翻訳され、バグダードやダマスカスの天文台で読み継がれた。
8〜10世紀のイスラム黄金期には、天体観測と数学、占星術が結びつき、星の配置や動きに意味を見い出す思想が発展した。こうして東方とギリシャ世界の知が行き来しながら、星座や宇宙観の形成に影響を与えていった。
この思想はやがてヨーロッパへも伝わり、中世には「Zodiac Man(黄道人)」という図像に結実する。人体の各部位を十二星座に対応させ、医師が星の運行を見て治療の時期を判断するための指標として用いられていた。天文学と日常の意思決定が、分かちがたく結びついていた時代だった。
現在の星座の多くは、メソポタミアで整理された星の区分に、ギリシャ神話を重ねて定着させたものとされている。秋の夜空には、王女アンドロメダと勇者ペルセウスの物語が輝く。母カシオペアの傲慢な言葉が海の神ポセイドンの怒りを買い、王家は罰を受けることになる。娘アンドロメダは海の化け鯨ケートスに差し出され、勇者ペルセウスに救われた。ペルセウスはアンドロメダと結婚し、エチオピアの王となった。この物語の舞台とされた「エチオピア」は、ギリシャ神話において“世界の果て”を象徴する異国として語られていた。
964年には、中世における最も優れた実践的天文学者の一人である、ペルシャの天文学者アル・スーフィが、このアンドロメダの位置に“Little Cloud(小さな雲)”と記録を残している。
冬の夜空に浮かぶのは、狩人オリオン。彼は恋人の女神アルテミスに“クマ”と見間違えられ、射られて命を落としたが、アルテミスを哀れに思った神によって、いつでも見られるよう夜空に拾い上げられたともいわれている。オリオンを中心に、忠実な猟犬たちとして、「こいぬ座」のプロキオン、「おおいぬ座」のシリウスが結ぶ「冬の大三角」が輝く。そして友情と絆を象徴する「ふたご座」の兄弟カストルとポルックスも並ぶ。
オリオンの足元に広がるオリオン大星雲は、17世紀初頭にガリレオが望遠鏡で観察した領域で、現代の天文学では“星の誕生現場”であることがわかっている。人類が望遠鏡を通して宇宙生成へ視線を向けた最初期の対象のひとつである。ドイツの天文学者ヨハン・ボーテは、オリオン大星雲を「天界で最も美しい星雲」と呼んだ。
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