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報道の外にある日常

シリアでは政権崩壊から1年が経っても地雷が各地に残り、帰還した住民は住宅や農地の再建に取りかかれない状況が続いている。チェルノブイリでは事故から40年を迎えても高汚染地域の生活環境は改善せず、ロシアの侵攻以降は軍事化による新たな危険が加わった。ガザでは長期化する戦闘で多数の住民が避難生活を余儀なくされ、医療や住居の不足が深刻化している。ウクライナの前線付近では、避難できない住民が破壊されたインフラの中で日常生活を続けている。
大きな出来事の報道が続く一方で、人々は危険や不安を抱えながらも、食事をし、移動し、働き、家庭を営んでいる。その中でもガザでは、住民が自身の状況について次のように語った。「外からは普通に見えても、内側では皆が壊れている」

※弊社では、海外の社会問題や環境問題などを専門に、現地で取材するカメラマンの写真を取り扱っております。
写真に加え、各カメラマン自身による記事もあわせてご提供可能です。
特別コレクションのため弊社サイトには掲載しておりませんが、テーマに応じて選定のうえご提案いたします。お探しのテーマがございましたら、ぜひお問い合わせください。

Category : 報道

Date : 2026.02.17

シリア、アサド政権崩壊から1年

アサド政権崩壊から1年後のシリアでは、暴力は一部で減ったが、人道危機は深刻なままである。多くの住民が電気や水もない中で帰還しているが、最大の障害は地雷や不発弾の汚染であり、家屋や農地、学校まで危険地帯となっている。
2024年末以降、地雷・不発弾による死傷者は1600人超で、子どもが3分の1以上を占める。医療や支援も不足し、生活再建はほとんど進んでいない。農地は地雷で使えず、帰還者は命の危険と隣り合わせで暮らしている。
国際機関が除去作業を行っているが、汚染の規模に対して能力は足りていない。地雷は戦争後も長期にわたり復興を妨げ、市民が最大の犠牲を払っている。それでも人々は帰還し、瓦礫の中で生活再建を試みているが、戦争の影響は「地中に埋まったまま続いている」状況である。

チェルノブイリ原子力発電所事故から40年

1986年4月26日、チェルノブイリ原発4号炉が爆発し、史上最悪の原子力災害となった。大量の放射性物質がヨーロッパ全域に広がり、約6500万人が被ばくした。最も汚染された地域は20万年後まで自然放射線量に戻らないとされている。
事故後、原発周囲30kmは立入禁止区域となり、11万6千人が避難したが、区域内には作業員や離れなかった住民が今も生活している。しかし2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻し、チェルノブイリを占領したことで状況は激変した。撤退後、区域は軍事化され、地雷が設置されるなど緊張状態が続いている。
放射能と戦争の影響により地域住民の生活は悪化し、医療資源も不足している。現在もベラルーシ・ウクライナ・ロシアの約900万人が高汚染地帯で暮らし、多くが健康被害に苦しんでいる。次世代への遺伝的影響も懸念され、チェルノブイリの問題は40年を経てもなお終わりが見えない状況である。

ガザ危機

ガザでは200万人以上が暮らす狭い地域で、長期化する戦闘により日常が危険と困難に覆われている。6か月以上続く戦争で3万4千人が死亡し、7万6千人が負傷、170万人が家を追われた。多くの家族が避難生活を強いられ、医療施設は負傷者の急増に対応できず、混乱が続いている。
記者や写真家も危険に晒され、100人以上が死傷している。砲撃が激しかったハンユニスでは、住民が撤収後の街に戻り、破壊された家からわずかな持ち物を探している。NGOも現地に入り、野戦病院を設置して医療支援を行っている。
空爆や砲撃が続く中でも、子どもたちが一瞬の遊びに喜びを見せるなど、人々は厳しい状況の中で懸命に生きている。「外からは普通に見えても、内側では皆が壊れている」という住民の言葉が、ガザの深い苦しみを象徴している。

ロシアのウクライナ侵攻

ロシアの全面侵攻から約4年が経ち、ウクライナ国内では370万人が避難民として暮らし、国外には630万人以上が避難している。前線に近い地域では砲撃が激しく、家屋や道路は破壊され、住民は地下や壊れた納屋で生活を続けている。避難できる人は去る一方、貧困層や高齢者は前線近くの「グレーゾーン」に残らざるを得ない。
ドネツク周辺では医療施設や商店への攻撃が増え、電気・水も長期にわたり途絶えたままである。貧困率の上昇により、避難先で暮らす余裕がない人々も多い。住民は爆撃の恐怖の中で何とか日常を保とうとしているが、破壊や地雷汚染が広がり、最後に残った住民たちは少ない荷物を抱えて支援車で避難させられている。

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