SPECIAL FEATURE

戦時下の世界
-南ドイツ新聞アーカイブより-

2025年、日本は第二次世界大戦の終結から80年の節目を迎えた。戦後の国際秩序のもとで平和を維持してきた一方、近年は世界各地で安全保障への懸念が高まっている。こうした時代において、歴史的な記録を見つめ直すことの意義が、改めて問われている。

「南ドイツ新聞(Süddeutsche Zeitung)」は、戦後間もない1945年に創刊され、ドイツの民主主義の再建とともに歩んできた報道機関である。ナチス体制下における報道の機能不全への反省を踏まえ、自由で独立した言論、歴史的責任の認識、そして記録を残すことの重要性を一貫して掲げてきた。現在では、質の高い調査報道や文化的論評に定評があり、ドイツ国内で最も信頼される新聞の一つとして広く認知されている。

今回は、南ドイツ新聞のアーカイブから、1939年から1945年の、第二次世界大戦の勃発と終結を経て、ドイツと世界が大きな転換点を迎えた時代に撮影された記録写真を中心に紹介する。

※ユニフォトプレスは、南ドイツ新聞と契約しており、貴重なアーカイブのご提供が可能です。弊社サイトに掲載されていない画像についても、お気軽にお問い合わせください。

Category : 歴史

Date : 2025.08.20

戦火の幕開け (1939~1940)

1939年9月1日、当時のドイツ指導者アドルフ・ヒトラーのポーランド侵攻宣言により、第二次世界大戦が勃発した。この時期、独ソ不可侵条約やモロトフ=リッベントロップ協定などの外交的な動きもあり、ヨーロッパの情勢は激動を迎えた。フランスのシャンゼリゼ通りを行進するドイツ軍兵士や、パリ北部で破壊された町並みの様子、またメーメル地方の併合を歓迎する市民の姿からは、戦争初期のドイツ社会の動きが垣間見える。

戦局の転換点 (1941~1943)

1941年の独ソ戦勃発からスターリングラードの激戦、そして敗北に至るまで、戦争はドイツにとって重大な転換期を迎えた。ナチス政権の情報統制を担当した宣伝大臣ヨーゼフ・ゲッベルスによる政権掌握10周年の演説や、ナチスの武装親衛隊(SS)の軍事訓練、さらには女性たちの軍需工場での労働、強制労働者の姿など、多面的な総力戦の様相が写真に捉えられている。敗北の象徴となったスターリングラードの廃墟や、ヒトラーユーゲント志願兵の姿からは、戦争の厳しさと社会への影響が浮かび上がる。

廃墟からの再出発 (1944~1945)

1944年から1945年、ドイツは連合国軍の侵攻によって都市の大部分が破壊され、多くの市民や兵士が困難な状況に置かれた。1945年のベルリン攻防戦でのソ連軍のジューコフ元帥や、包囲されたブレスラウで自転車とバズーカを装備した兵士たちの姿、さらにアウシュヴィッツやダッハウ強制収容所の悲劇的な現実が写真に記録されている。戦後の西ドイツ初代首相として民主主義の再建を担ったコンラート・アデナウアーの活動もまた、廃墟の中からの新たな出発を象徴する。

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