世界を変えた女性たち

ロシア・サンクトぺテルブルクにあるエルミタージュ美術館。エカチェリーナ2世が収集した膨大な美術品が、現在のエルミタージュ美術館の基礎をつくった

エカチェリーナ2世の夫、ロシア皇帝のピョートル3世（Peter III、1728～1762年）。1762年、皇帝に即位するが、わずか半年で退位し、エカチェリーナ2世がロシア皇帝となって帝国を発展に導いていった

エリザベート・ヴィジェ＝ルブラン 「薔薇を持つマリー・アントワネット」 1783年。所蔵：ヴェルサイユ宮殿（フランス・ヴェルサイユ）。マリー・アントワネットは、オーストリアとフランスが同盟を結んだことの象徴のような存在として、オーストリアのハプスブルク家から、フランスのブルボン家に嫁いだ。貴族女性たちのファッションリーダーとして、ドレスやヘアスタイルの流行を生み出した。後のフランス革命のきっかけになったとも言われている

マリー・アントワネットが所有していたハープ。所蔵：カルナヴァレ美術館（フランス・パリ）

映画『マリー・アントワネット』（2007年、監督：ソフィア・コッポラ、主演：キルスティン・ダンスト）。フランシス・フォード・コッポラを父に持つ、アメリカ映画界のサラブレッドがフランス史を描いたということで賛否両論を呼んだ作品。14歳でヴェルサイユ宮殿に嫁ぎ、外の世界から隔離された若きマリー・アントワネットの孤独をポップな世界観で描いた

エカチェリーナ2世の記念コイン。銅製。制作：Timofey Ivanoff（1729～1803年）

エカチェリーナ二世のフロントロック・ピストル。1786年。素材：銅、象牙、金、真鍮。長さ：36.8cm。所蔵：メトロポリタン美術館（米国・NY）。制作：ヨハン・アドルフ・グレッケ（1755～1790年）

イタリアの画家、ステファノ・トレッリによるエカチェリーナ二世の肖像画。エカチェリーナは、ピョートルが皇帝に即位した後、クーデターを敢行し、第８代ロシア女帝として即位。 積極的な外交政策を推進し、オスマン帝国との露土戦争や３回のポーランド分割などを通じてロシア帝国の領土を、ポーランドやウクライナに拡大した

1896年に出版された図解イギリス史に掲載。エリザベス一世の議会の様子

戴冠式のローブを纏うエリザベス1世の肖像画（Elizabeth I、1533～1603年）。1600年。イングランドとアイルランドの女王として、生涯未婚を貫き、大英帝国の礎を築いた。スペインの無敵艦隊の襲撃「アマルダの海戦」での勝利や、積極的な政治改革などで、世界で最も高く評価された君主の一人でもある

2021年2月、日本で放送されたエル・ファニング主演の宮廷ドラマ「THE GREAT ～エカチェリーナの時々真実の物語～」。ロシア帝国を築き上げ、ロシア文化発展に貢献した女帝エカチェリーナ２世の愛と欲望の生涯を史実とフィクションを織り交ぜ、ユーモアたっぷりに描いている

2015年11月30日、パリで開催された国連気候変動会議（COP21）の傍らで三国間会合を行うドイルのメルケル首相（Angela Merkel）、ロシアのプーチン大統領（Vladimir Putin）、欧州委員会のユンケル委員長（Jean-Claude Juncker）。プーチン大統領とメルケル首相はベルリンの壁が崩壊したとき、KGB情報員として、民主主義にあこがれる女性として、同じ東ドイツで歴史の一ページを経験している

2021年11月1日、スコットランドで行われたCOP24に到着したメルケル首相。EUの枢軸国ドイツの首相を13年務めてきた。フォルクスワーゲン社の唯一の女性取締役、ヒルトラドはメルケルの指導者としての手腕を「インヴィジブル（目に見えない）」と話したという。水面下で入念にコンセンサスを築き、自分の案であっても手柄にしないで伏せることで成功した女性だった。新政権が発足し次第、政界から引退する

2021年11月15日、5500億ドル規模のインフラ法案への署名を行う式典でスピーチを行うカマラ・ハリス副大統領（Kamala Harris）。有色人種の女性初の副大統領として新しい時代を象徴している

2021年8月20日、アフガニスタン・カブールからの軍の徹底についてスピーチを行うジョー・バイデン米国大統領。（左）カマラ・ハリス副大統領、（右）アントニー・ブリンケン国務長官

第74回国連総会に先立ち、NYの国連本部でニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相（Jacinda Ardern）と会談するボリス・ジョンソン英国首相（Boris Johnson）

エリザベス女王二世が連邦首脳会議で主催する夕食会への参加のため、バッキンガム宮殿に到着したニュージーランドのアーダーン首相とパートナー。首相は就任数カ月後に妊娠を公表し、現職の首相として世界で初めて産休を取得して話題となった。復職後は国連総会に子連れで出席するなど、社会進出を目指す女性のロールモデルとして注目されている

2017年12月21日、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相。37歳の若さでＮＺ史上３人目となる女性の首相に就任。ＮＺは女性の政治参加や地位向上に積極的に取り組んでおり、1893年に世界で初めて女性が国政選挙権を獲得した国としても知られている

2021年10月6日より開催予定のEU・西バルカンサミットへの参加のため、スロベニアに到着したフィンランドのサンナ・マリン首相（Sanna Marin）。34歳のとき世界最年少で首相に。内閣発足時には19名うち12名が女性だった。ジェンダー平等社会の実現、自然環境の保護などを政策に掲げている

台湾総統・蔡英文（Tsai Ing-wen）。2011年の台湾大統領選挙キャンペーン中の選挙事務所でのインタビュー。2016年5月、台湾初の女性相当となり民主化を担っている。2019年5月には同性婚を認め、アジア初の快挙として世界から注目を浴びた。天才プログラマーであり、トランス・ジェンダーを公表し中卒でもある異色の経歴を持つオードリー・タン（Audrey Tang）をデジタル大臣に大抜擢。コロナ封じ込めの初動に成功した

故マーガレット・サッチャー（Margaret Hilda Thatcher、1925～2013年）氏以来、2人目の女性の英国首相を務めたテリーザ・メイ（Theresa Mary、1956年～）氏と、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、ブレクジット（英国のEU離脱）の舵取りに関して、タフな交渉を繰り返した

フランス「国民戦線（FN）」党首、マリオン・アンヌ・ペリーヌ・ル・ペン（Marion Anne Perrine Le Pen、1968年～）氏は、フランスの政治家、弁護士。米国のトランプ氏同様に、低学歴の白人の支持が高く、経済的に疲弊している地方での人気が高い

イタリアのローマ市長、ビルジニア・ラッジ（Virginia Elena Raggi、1978年～）氏は、蔓延する汚職の一掃などを公約に当選。新興政党「五つ星運動」に関わり、市長就任直後にローマ市が2024年オリンピックの開催都市に立候補していたのを取り下げ、フランスのパリ市に開催権を譲った

ドイツで難民排斥が色濃い「ドイツのための選択肢（AFD）」の前共同代表だったフラウケ・ペトリー（Frauke Petry、1975年～）前共同党首は、男性的視点に刻印された労働世界を批判。男性企業家に対して子供を育てた経験の有無を銀行は問わない、労働時間が依然としてたいてい男性によって左右されている、といったことをペトリーは批判した。効率的に働いているように思えても、男性は十分に考慮することなく超過勤務を自慢していることも彼女は批判した

『麗しのサブリナ』（原題：Sabrina、1954）。ハンフリー・ボガート（Humphrey Bogart）とオードリー・ヘプバーン。この映画内でオードリーが見せたパンツ・スタイルによって、コンサバ層にまでパンツが浸透することになった

オードリー・ヘプバーンは、後半生を国際連合児童基金（ユニセフ）での仕事に捧げ、親善大使として1988年から1992年にはアフリカ、南米、アジアの恵まれない人々への援助活動に献身した

『ティファニーで朝食を』（原題：Breakfast at Tiffany’s、1961）のオードリー・ヘプバーン（Audrey Hepburn、1929～1993年）。細身のオードリーは、装飾を抑えたシンプルな服の着こなしで、当時の女性に求められていた“美”に革命をもたらした

「ミステリーの女王」と呼ばれる英国の推理作家アガサ・クリスティ（Agatha Christie、1890 ～1976年）。1962年撮影。第一次世界大戦中に薬剤師の助手として働いた経験から、毒物や薬品の知識を得た。1920年にデビューしてから他界するまで、長編小説66作、中短編小説165作、戯曲15作など多数の作品を世に残した

オランダで生まれ、パリで活躍した画家、キース・ヴァン・ドンゲンが描いたココ・シャネル

シャネルのシグネチャー・アイテムとされるツイード製のスーツを着ているファッション・デザイナー、ココ・シャネル（Coco Chanel、1883～1971年）。窮屈なコルセットや長いペチコートが当たり前の時代に、ズボンや裾の短いドレスやスカートを考案した

『ムーミン』シリーズを生み出したフィンランドの作家・イラストレーターのトーベ・ヤンソン（Tove Jansson 、1914～2001年）。彫刻家の父と挿絵画家の母をもち、14歳で挿絵画家としての仕事を開始。多様な生き物が存在するムーミンの世界観は、トーベの戦争体験や、女性芸術家、同性愛者というマイノリティとしての苦しみがウィットに富んだ物語として表現されているといわれている。2021年10月、彼女の人生を描いた映画『TOVE／トーベ』が日本でも公開された

英国の出版社、ペンギン・ブックスから出版されたレイチェル・カーソンの『沈黙の春』（原題：Silent Spring、1962年）。環境問題に警鐘を鳴らし、世界が環境問題に取り組むきっかけになったともいわれる。近年のSDGsの取り組みによって再び注目を集めている

米国・ノースカロライナ州にあるレイチェル・カーソン保護区の野生の馬

1936年に発表されたイギリス人小説家、アガサ・クリスティの『ABC殺人事件』（原題：The ABC Murders）。1970年代に出版。表紙

レイチェル・カーソン（1907～1964年）は、アメリカの海洋生物学者および自然保護論者。『沈黙の春』は、化学会社からの激しい批判を受けたが、農地の害虫駆除に使われるDDTなどの全国的な禁止につながった。この本に触発された草の根の環境運動から、アメリカ環境保護庁（EPA）が創設された

ムーミンとスナフキンが描かれたフィンランドの切手

1963年に出版されたベティ・フリーダン（Betty Friedan、1921～2006年）の「フェミニン・ミスティーク（新しい女性の創造）」は、大きな反響を呼び、著書の中で「自らの力で自らの人生を確立すべきだ」と訴え、多くの女性の心をとらえた。また、フリーダンは、女性の地位向上、賃金や昇進をめぐる男女格差の解消、人工妊娠中絶の自由化を呼びかけた

1848年、米国のエリザベス・ケイディ・スタントン（Elizabeth Cady Stanton、1815～1902年）氏は、女性の権利拡大を要求する会議を組織し、女性史上重要な意義をもつ「女性の権利の宣言」を発表。女性の権利運動の指導的役割を担い、後の女性の選挙権要求運動につながっていった。同時代の女性の多くとは異なり、スタントンは正式に学校教育を受け16歳で故郷のジョンズタウンアカデミーを卒業。在学中は数学と外国語の上級クラスに唯一の女子生徒として出席し、校内のギリシャ語弁論大会で二等賞をとるなど討論の腕を上げていく。学校は大好きで女性ゆえの障壁には遭わなかったと言う