イギリス児童文学の歴史

マザーグースの数え歌。「くつのとめがね　とめよう」

「ガリヴァー旅行記」の挿絵。ジョナサン・スウィフトによる風刺小説だが、当時多くの子供たちも寝室でこの本を楽しんだ。

「不思議の国のアリス」ジョン・テニエルの挿絵（1865年）アリスがフラミンゴでクロケットをしている場面

「不思議の国のアリス」ジョン・テニエルの挿絵（1865年）不思議なボトルを飲み小さくなったアリスがたばこをくゆらす芋虫と話すシーン

ルイス・キャロル「鏡の国のアリス」（1871年）の挿絵。動くラムチョップ。

ルイス・キャロル「不思議の国のアリス」が1907年に再出版された際の違うイラストレーター（アーサー・ラッカム）による挿絵

ルイス・キャロル「不思議の国のアリス」でお茶会をするアリス

キャロルによる「不思議の国のアリス」の続編、「鏡の国のアリス」の1ページ。

ヴィクトリア朝末期の有名な作家・イラストレーターであったベアトリクス・ポター。23の児童文学を出版した

ポターの「ピーターラビット」表紙（1902年）。

ピーターラビットの挿絵。ポターの動物へ向けられた鋭い観察眼はその愛らしいキャラクターを作り出した。

1877年に公開されたアンナ・シュウエルによる「黒馬物語」もイギリス児童文学の古典と評価されている

「黒馬物語」の1877年に出版された第一版の表紙

1894年にはキプリングにより「ジャングル・ブック」が発行された。画像はウィリアム・ヘンリー・ドレイクによる挿絵

「ジャングル・ブック」では作者のキプリングが自身の子供時代を投影させて主人公モーグリを描いたといわれている

この時代から、児童文学への執筆や挿絵の提供だけで食べていける作家が登場した。シシリー・メアリー・バーカーなどがその例である。

シシリー・メアリー・バーカーによる別の挿絵。花の妖精シリーズで著名な挿絵画家・児童文学者

人気の児童文学画家・ヘンリー・Ｊ・フォード。妖精の絵に長けており、イギリスで人気を博した。

ジョン・リーチはチャールズ・ディケンズ作品に挿絵を提供したり、風刺漫画雑誌PUNCHに投稿したりしていた。

イギリス人ジョージ・クルックシャンクも人気の挿絵画家であった。画像は1825年に描かれたもの

1890年代にはジョセフ・ジェイコブのおとぎ話がイギリスで生まれた。画像はジャックと豆の木から

1890年代の別のおとぎ話、3匹のこぶた。西洋文化に根付くお話となった。

1902年のジェームス・マシュー・バリーにより「ピーターパン」。

ヒュー・ロフティングによる「ドリトル先生アフリカゆき」は1920年に出版された。日本では岩波書店から 井伏鱒二の訳で出版された

ヒュー・ロフティングは1922年には続編「ドリトル先生航海記」を発表。画像は、その扉絵。イラストもロフティングが行った。

A.A.ミルンによる「くまのプーさん」はのちにディズニーにより映像化され知名度が大きく上がった

「プーさん」の作者アラン・アレクサンダー・ミルン。児童文学のほか、ファンタジー、推理小説などのミステリも書いた

パメラ・トラバースによる「メリー・ポピンズ」の表紙

パメラ・トラバースは児童文学作家・女優であり、1977年には大英帝国勲章を授与された

1937年にはJ. R. R. トールキンによる「ホビット」が発表された

1940年代、パフィン・ブックスのブランドで売り出された安いペーパーバックは戦時下で子供たちに愛された

クライブ・ステープルス・ルイスによる「ナルニア国ものがたり」（1950年）の表紙。

J. R. R. トールキンは1954年に「ロード・オブ・ザ・リング」を発表。

1952年のメアリー・ノートンによる児童向けファンタジー「小人の冒険シリーズ」。小人のアリエッティが人間からものを借りることで暮らす物語

1954年出版のウィリアム・ゴールディングによる「蠅の王」。画像は自宅で撮影されたゴールディングと彼の妻

「蠅の王」はディストピア作品として2度映像化されている。画像はピーター・ブルック監督による1963年の映画

ロアルド・ダールによるファンタジー文学「おばけ桃の冒険」は1961年に発行された。作者のダールはWW2でイギリス空軍で戦闘機に乗り、エースパイロットであった。

1942年。戦時中のロアルド・ダール。空軍大尉として集合写真の中に写っている。

1958年にはマイケル・ボンドによる「くまのパディントン」が発表された。挿絵はペギー・フォートナムによって描かれ、大人気作品となった。

ジブリにより映像化された「魔法使いハウルと火の悪魔 」はダイアナ・ウィン・ジョーンズにより1986年に児童向けファンタジー小説として発表された。

イギリス人児童文学作家イーニッド・ブライトンによる「Famous Five」の表紙。

古典児童文学の背表紙。

ヨーロッパの民話「長靴をはいた猫」の1シーン。

ドイツのメルヘン（おとぎばなし）の1ページ。

マーク・トウェインが1885年に発表した「ハックルベリー・フィンの冒険」をモチーフにした切手。フィンの物語には友情と冒険が描かれている。

ライマン・フランク・ボームによる「オズの魔法使い」は1900年に出版され、以降人気作品となった。写真は、出版当時の表紙。

アメリカ人作家フランシス・ホジソン・バーネットは児童向けに「小公女」を1905年に執筆した。

1911年に発表された「秘密の花園」。著者はフランシス・ホジソン・バーネット。

1939年の映画ジュディ・ガーランド出演の「オズの魔法使い」はあまりにも有名。ガーランドはこの役の功績でアカデミー子役賞を受賞した。

開拓時代のアメリカをテーマにしたローラ・インガルス・ワイルダーの「大きな森の小さな家」は第一作目が1932年に出版された。

ワイルダーの「大きな森の小さな家」を原作としたアメリカのテレビドラマシリーズ、「大草原の小さな家」。（1974年）

スウェーデンの女性作家セルマ・ラーゲルレーヴによる「ニルスのふしぎな旅」は1906年に発行された。小人になってしまった主人公ニルスがガンなどの鳥たちと旅をして成長する物語である。

フィンランド人のトーベ・ヤンソンは1945年に「小さなトロールと大きな洪水」というムーミンシリーズの第一作を執筆した。

ムーミンシリーズはイギリス、アメリカなどほかの国の子供たちにも愛され40カ国の新聞に掲載され、最盛期の読者は2000万人に達した。

1945年のアストリッド・リンドグレーン作「長くつ下のピッピ」はノルウェー・ノーベル研究所により「世界文学名作百選」に選ばれている。

「長くつ下のピッピ」初版のイラストを担当したイングリッド・ヴァン・ニイマン。アストリッド・リンドグレーンの多くの作品にイラストを提供した。

イランではイランの児童文学者・Mehdi Azar Yazdiがペルシャの古典文学やコーラン、預言者ムハンマドの物語を児童向けに書き直した。

19世紀のインド人教育者および社会改革者のIshwar Chandra Vidyasagar。児童向けの物語をベンガル語に翻訳したり、自ら執筆も行った。

ガンジーと映っているのはインディアン・アートのパイオニアであるナンダラル・ボーズ。ボーズはインドの児童文学の挿絵を多く手掛けた。

ナンダラル・ボーズによる挿絵。ヒンドゥー教徒と仏教徒の神話の1シーンを描いている。

アインシュタインと映るラビンドラナート・タゴール。アジア人初のノーベル文学賞受賞者。児童向け雑誌にシク教の誌などを寄せていた。

西暦200年ごろにヴィシュヌ・シャルマーによって作られたインドのパンチャタントラ。世界最古の児童文学。

インド人作家ラスキン・ボンド。ボンドは、50冊の児童文学をはじめとした500冊以上の短編小説、エッセイ、小説を執筆している。

中国の作家・ジャーナリストの葉紹鈞。彼の児童文学は戦前から日本語に翻訳されている。

児童文学の表紙を印刷した切手。