源氏物語の絵画

SPECIAL FEATURE

源氏物語
平安美術へめぐり逢ひて

2024年に放送されるNHKの大河ドラマは、「光る君へ」というタイトルで、主人公は源氏物語の作者である紫式部です。源氏物語は11世紀の平安時代中期に制作され、現存する世界最古の小説として知られています。物語は貴族の光源氏が多くの女性との恋愛を描いたもので、当時の貴族の生活や権力争いの様子が詳細に描かれており、平安時代の文化を学ぶことができます。また、登場人物たちの恋愛模様や光源氏の成長も魅力であり、今でも面白く読むことができる物語です。

源氏物語は平安時代当時から多くのファンを持っており、作成から150年後の平安後期には「源氏物語絵巻」として絵画化されました。江戸時代には菱川師宣や土佐光起、歌川国貞などの多くの芸術家が源氏物語を題材にした絵画作品を制作しました。源氏物語は時代を超えた魅力があります。

Category : 歴史

Date : 2023.07.04

源氏物語の美術

『源氏物語』は、第一部、第二部、第三部の三部構成で構成されており、全体で54の巻(帖)から成り立っています。第一部では、光源氏の幼少期の成長と家族の絆が描かれつつ、貴族社会の華やかな風俗や宮廷の生活が描かれ、光源氏の成長や彼を取り巻く人々の関係性が物語の中心となります。第二部では、光源氏が青年期に差し掛かり、若さゆえの情熱や愛情の葛藤が描かれます。この部分では、愛と喪失、人間の葛藤、そして物事の無常性に焦点が当てられ、光源氏と彼を取り巻く人々の複雑な恋愛模様が描かれます。第三部では、光源氏の没後の子孫たちの恋愛や人生が物語の中心となります。ここでは家族のつながりや運命の軌跡、愛と喪失などのテーマが探求されます。源氏物語を題材にした絵画も多く存在しますが、全54巻のどの場面が描かれているのかを知ると、鑑賞がより楽しくなります。

たとえば、ブルックリン美術館に所蔵されている源氏物語の絵画(弊社画像番号:3.267557)は、第8巻「花宴」の場面を描いています。光源氏が宴会の後、皆が寝静まった中で現れる美女(朧月夜)と出会い、彼女に心を奪われる場面が描かれています。絵画の左側には朧月夜も描かれ、二人のロマンチックな場面が美しく表現されています。

また、ハーバード大学の美術館に所蔵されている源氏物語の絵画(弊社画像番号:00867681)は、第17巻「絵合」の場面を描いています。一見すると、楽しそうに絵巻を見ている人々の絵画ですが、物語では、絵が好きな帝の気を引くために、二人の女性が絵画を収集し、どちらが優れた絵画を持っているかを競っている女性たちの戦いの場面が描かれています。

三十六歌仙/北野天神縁起絵巻

紫式部が有名な歌として読んだものは、「めぐり逢ひて見しやそれともわかぬ間に雲がくれにし夜半の月かな」という歌です。この歌は友人と久しぶりに再会したが、もうすぐ別れなければならないという寂しさを表現したもので、一瞬の間に月が雲に隠れてしまうように、もっと一緒にいたいという思いが込められています。紫式部は歌人としても優れており、「小倉百人一首」に和歌が収められています。また、彼女は中古三十六歌仙や女房三十六歌仙の一人として、選ばれています。

また、紫式部のライバルとされる「枕草子」の作者である清少納言も、中古三十六歌仙や女房三十六歌仙に選ばれています。

絵画として題材にされているのは、中古三十六歌仙や女房三十六歌仙よりも以前に作成された「三十六歌仙」です。この中には柿本人麻呂や小野小町、紀貫之など、平安時代の著名な歌人が選ばれています。三十六歌仙の絵画は「歌仙絵」と呼ばれ、36人が描かれた絵画や、一人ずつの歌とともに描かれた絵画などが存在します。

他にも歌人として有名な人物としては、天神様としても有名な菅原道真が挙げられます。「このたびは 幣も取りあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに」という歌が「小倉百人一首」に収められています。菅原道真の絵画としては、北野天神縁起絵巻が有名で、模本がボストン美術館などに所蔵されています。

仏教美術

平安時代は、日本の仏教が繁栄し、盛んになった時代であり、様々な仏教の宗派や教えが広まりました。源氏物語の物語にも、因果応報や輪廻転生など、仏教の思想が影響を与えています。仏教は貴族の間でも流行し、仏教建築や仏像、絵画などにも影響を与え、多くの美術品が制作されました。一部の美術品は現在、海外の美術館に所蔵されています。

最近話題となったニュースは、2023年5月に、豊臣秀吉に関連する貴重な黄金の茶道具一式が競売にかけられたことです。スタート価格は1億2千万円で、最終的には3億円まで上昇し、茨城県の美術館が落札しました。この競売に際して、国内の歴史的な財宝が海外に流出しないかという懸念が一部の人々から出されました。ボストン美術館が所蔵している「吉備大臣入唐絵巻」は海外に渡った二大絵巻の一つとされており(もう一つは平治物語絵巻)、もし日本に存在した場合、国宝に指定されるほどの価値があります。昭和7年(1932年)当時は美術品の取り締まりが整っていなかったため、「吉備大臣入唐絵巻」はボストン美術館に6万〜7万ドル(現在の価値で約1億4千万円〜1億7千万円)で購入されました。この出来事を契機に、流出を防ぐために翌年の4月1日に「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」が公布・施行され、美術品の国外流出を防ぐ措置が講じられるようになりました。

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