SPECIAL FEATURE

eスポーツのうねり

2023年9月23日から10月8日にかけて、アジアオリンピック評議会(OCA)が開催する「第19回アジア競技大会」で、8つのeスポーツ競技が正式競技として実施される。パリ・オリンピックでは、時期尚早として、eスポーツの正式競技採用は見送られる見通しながら、2023年3月、国際オリンピック委員会(IOC)が、国際競技連盟(IF)やゲーム会社と連携して設立した「オリンピックeスポーツシリーズ(OES)」が開催され、2023年6月、シンガポールで対面形式によるOESの決勝戦が行われた。
オリンピックやワールドカップなど、世界規模で開催されるスポーツ・イベントは、メディアを通して全世界に配信され、「勝敗の決定」に多くの人の関心をひきつけ熱狂させる。
スポーツの定義は「学者の数だけある」とさえいわれるほど、研究領域は広く曖昧で、取り組むテーマの数は多い。フランスの学者ベルナール・ジレによれば、スポーツは「激しい肉体活動」「遊戯性」「闘争」が含まれた営みとされる。
選手同士が該当するスポーツのルールを遵守して、相手に自己の能力を最大限に発揮しながら、卓越性を相互に追求し合うことに、スポーツの本質があるが、スポーツには「興行」の側面があり、スポーツと興行のボーダーはグレーゾーン。三大新聞のスポーツ面には、興行は掲載されないことから、「三大新聞のスポーツ面に、結果が掲載されるのがスポーツ」という見方をする研究者は多い。
一方で意図的な審判の目を盗んでの反則や、観客が引き起こす乱闘など、スポーツを取り巻く倫理問題(スポーツマンシップ)の再編と教育が、選手と観客ともに急務となっている。

Category : 報道

Date : 2023.07.20

eスポーツの歴史

eスポーツ(エレクトロニック・スポーツ)は、コンピューターゲームの進化と共に発展した。1972年に世界初となる公式eスポーツイベントが開催され、1980年代から1990年代にかけて普及したアーケードゲームは、大規模なゲーム大会が目白押し、2000年代初頭にはプロゲーマーを誕生させた。
任天堂が初代ファミリーコンピュータを販売したのは1983年7月15日だったが、1989年に販売したゲームボーイ、1990年に販売したスーパーファミコン、1994年にSONYが販売した初代プレイステーション、同年にセガが販売したセガサターンが、急激に世界で普及。家庭用ゲーム専用機と、携帯ゲーム機のプラットフォーム(コンソール)を構築した。
1993年12月10日にMS-DOS向けのシェアウェアとして発売された「DOOM」は、作品の暴力的な表現が問題視されながらも、瞬く間に世界中に普及。空間を移動し、素手や武器などを用いて戦う「一人称視点シューティングゲーム」の草分けとして、オンラインゲームの発展に寄与するところが大きい。
ゲームを取り巻く環境は産業化し、たとえばゲーミングチェアやゲーミングパソコン市場は、それぞれが数千億円の規模に拡大。国内家庭用ゲーム専用機の市場規模は、4,000億円に達する勢い。世界のゲーム市場規模に目を向けると、約20兆円を上まわる。Eスポーツの歴史は、コンピューターゲームの進化と共に発展してきました。1972年に初の公式なEスポーツイベントが開催され、1980年代から1990年代にかけてアーケードゲームが人気を集めました。2000年代初頭にはプロゲーマーと大規模な大会が登場し、2010年代にはライブストリーミングとオンラインゲームの普及が急速な成長をもたらしました。2020年代には世界的な認知とメディアの注目が高まり、Eスポーツはさらなる成長を見せることが期待されています。

eスポーツと教育

ノルウェーの公立高校では、2016年からeスポーツ教育を導入。3年間にわたって週に5時間、eスポーツを学び、ゲームに必要な反射神経、体力、我慢強さの向上にも取り組む。
北米教育eスポーツ連盟(North America Scholastic Esports Federation)の調査では、eスポーツ自体に教育的効果が確認され、eスポーツは有力な教育コンテンツとして、とくに論理的思考や問題解決力をはじめとしたSTEAM教育、またコミュニケーション力を身に付けることができるという。
大阪府大東市は、不登校の児童らが通う教育支援センターの校外学習として、eスポーツの体験イベントを実施し、児童らが親しみやすいゲームを通じて、協力し合うことで、コミュニケーション能力の向上を図る。
eスポーツのデータストラテジスト、ジェームズ・ホッジ(James Hodge)は、現在のeスポーツは、1990年代のゲームとは大きく異なり、観客はオンライン体験を共有する参加者だという。現実世界のF1ドライバー、ランド・ノリスは、eスポーツのF1ゲームドライバーの“二刀流”。オンライン体験を観客とも共有し、ミラーリングされた物理世界とデジタル世界の両方で、相互的に学びながらコンペティションを戦う。

eスポーツの今後の発展

ゲームを使用した対戦競技であるeスポーツは、体を激しく動かし、身体能力が「勝敗の決定」に大きく影響するスポーツに比べ、ゲームパッドやマウスで操作するeスポーツは、体格や筋力の差が影響しづらいことから性別による差が小さいと考えられている。実際の大会でも、男子と女子に部門が分かれているケースは見られない。
世界のeスポーツ競技人口は、いまや1億3,000万人以上といわれ、拡大が続いている。特に欧米、中国、韓国での急拡大には目を見張る。また、新たなゲームやジャンルの登場、新しいプレイヤーやファン層の獲得、新たな地域や国での普及などにより、eスポーツの規模は、今後もさらなる拡大が期待される。
eスポーツを学習や教育を促進するための効果的なツールとして活用することで、主に中学生や高校生の知能向上、社会性・情動性を育むソーシャル・エモーショナル・ラーニング(社会的感情学習)の向上が期待されている。

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