光を操る 銀幕テクノロジー

SPECIAL FEATURE

光を操る
銀幕テクノロジー

映画は、言葉、音楽、映像を組み合わせることで、極めて強力な物語性を持ったメディアで、従来では難しかった高いレベルの情報を伝達できることから「20世紀最大の発明」と呼ばれる。
映画の黎明期に銀色のメタリックな表面を持つスクリーンを使用していたことから、映画そのものを「銀幕」と呼ぶようになったと考えられ、「銀幕」は映画を象徴する言葉として定着し、映画文化の意味合いでも使用される。
1895年12月28日、フランスのリュミエール(Louis Lumiere)兄弟が、リヨンで、46秒の短編映画「労働者たちの退出(Workers Leaving the Lumiere Factory)」の公開上映会を開催したのが、世界初の商業映画上映会と言われる。映画生誕130年、映画は映像技術や音響技術の進歩と深い関わりがあり、さまざまな革新を繰り返しながら、映画製作や鑑賞体験をアップデートする。

Category : 歴史

Date : 2024.04.03

光と影で物語を紡ぎ出すメカニズム

映画フィルムが光の明暗を表現できるのは、構造と仕組みにある。光を感光させる感光層と、その感光層を支える透明なベース層から構成され、感光層には銀塩粒子や感光化合物が含まれていて、フィルムは光に反応して露光される。明るい部分では感光層により多くの銀が生成され、暗い部分では少ない銀が生成される。現像工程において、感光層に露光された部分の銀が現像液によって溶解され、黒色の銀粒子が現れる。透明な部分は感光されていないため、現像されない。
映画フィルムは、かつてはニトロセルロースと呼ばれる非常に燃えやすい素材でコーティングされていたため、火災のリスクが高かったが、近代では燃えにくい特性を持つアセテートベースの素材が使用される。
アナログテレビの映像が1秒間に30フレームや25フレームだったのに対し、映画は24フレーム。これは映画業界全体での標準。自然な動きの再現、映画館のプロジェクターや放送規格など技術的制約、フィルムや現像コストなどの経済的要因から、映画業界が発展するにつれて、統一性を確保し、業界全体の効率を向上させた。

視聴者を引き込むストーリーテリングと規制

映画は極めて強力なメディアで、社会的影響範囲が広かったため、戦時中には宣撫工作(プロパガンダ)に積極的に利用された。日本では、映画産業の成長に伴い、映画の倫理規制を目的として戦前の1930年に「映倫(映画倫理機構)」が設立された。昭和初期には、映画における性的描写や暴力描写の規制が主な課題だった。米国では「MPAA(映画倫理規定委員会)」が映画の内容を審査し「R規定(Restricted)」警告を表示し、英国では「BBFC(映画倫理規定委員会)」が管理する。BBFCの「18(18禁)」指定は、18歳未満の者には鑑賞が制限され、保護者同伴でも鑑賞が許可されないことを意味し、DVDやストリーミングサービスでの販売やレンタルなど、一般の観客に向けた配信や販売の際に適切な警告として表示される。
映画は言語の壁を超え、世界中の人々に影響を与える文化的媒体。異なる文化を理解し、世界中の観客に共通の感情を伝える手段として機能するが、時代によって上映基準や規制が変化し、映画の制作や上映に影響を与えてきた。一方で映画産業は、巨大な経済的影響力を持ち、映画製作、配給、上映、商品化など、映画産業は多くの雇用機会を提供し、経済成長を促進した。

デジタル技術がもたらす視覚効果の革新

1890年代から1920年代初頭、無音(サイレントフィルム)からはじまった映画は、製作用の機材やスタジオが整備され、フィルムの撮影、編集、プロジェクションの技術が発展し、音楽や字幕が追加された。1927年、米国の「ジャズ・シンガー」が最初のトーキー映画として公開され、映画の視聴体験が大きく変化し、俳優たちがセリフを語ることが可能になった。1920年代後半に、テクニカラー(Technicolor)などのカラー撮影技術が開発され、1930年代初頭には、白黒映画に代わってカラー作品が映画製作で広く使用された。
1982年に公開されたSF映画「トロン」は、CG(コンピューターグラフィックス)を大胆に活用した映画の先駆けで、革新的な特殊効果と独創的なビジュアルデザインが映画業界に大きな影響を与え、映画製作へのデジタル合成技術の導入を加速させた。
2000年代以降、デジタル合成技術は飛躍的に進歩し、3D映画やIMAX映画などの新しい映像体験が登場。映画館での観客に新体験を提供する一方、映画製作の方法にも影響を与えた。現在では、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)技術が映画製作や映画鑑賞の領域にも導入されはじめ、より没入型の映画体験が可能になり、映画製作や鑑賞体験はますます変化している。

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