変化する建築

渋沢 栄一（Eichi Shibusawa）1840-1931。近代日本資本主義の指導者となった実業家。第60作 NHK 大河ドラマ「青天を衝け」でその生涯が描かれた

法務省旧本館（東京）。ドイツの建築家ヘルマン・エンデとヴィルヘルム・ボックマンによって設計。 1895年建設

ドイツの建築家、ヘルマン・エンデ（Hermann Gustav Louis Ende）1829-1907。ドイツや日本での活躍で知られている。日本の外務大臣・井上馨は、西洋式の建築による首都計画によって近代国家としての体制を整えようとし、エンデら12名が明治政府のお雇い外国人として来日した

東京駅丸の内駅舎。2024年より流通予定の新1万円紙幣は、表面の肖像が渋沢栄一、裏面は「赤レンガ駅舎」として知られるJR東京駅の丸の内駅舎となる。1914年竣工。設計は、辰野金吾。渋沢栄一が設立した日本煉瓦製造が製造した煉瓦が使用された。第二次大戦で焼失したが、2012年に復元・修復が行われた

1867年、パリ万国博覧会（Exposition Universelle de Paris 1867）。1867年4月1日から10月31日までパリで開催された。42ヶ国が参加、日本も初めて参加して幕府、薩摩・佐賀両藩が出品。渋沢栄一は、パリ万博に会計係兼書記として参加し、これが人生の転機となった。会場にはシャン・ド・マルスの14万6,000平方メートルという広大な敷地があてられ、中央の温室庭園を囲んで7つの回廊が同心円状に広がる巨大な楕円形の展示会場が建設された。売店や遊園地なども作られ、お祭り的雰囲気はその後の万博でも受け継がれていくことになった

徳川 昭武（Akitake Tokugawa）。江戸幕府15代将軍・徳川慶喜の弟。慶喜の命により、当時14歳で日本代表団を率いてパリ万博へ派遣された。大政奉還で日本が揺れ動く中、パリにいる昭武を支えたのが渋沢栄一だった

1867年、パリ万国博覧会の機械館でのプロイセン（ドイツ）によるカノン砲の展示。万博は工業力を競う場とされており、機械館は別のジャンルに比べ2倍の展示スペースが用意されていた

1867年パリ万博。機械館でのシャム（タイ）による象の展示の様子。Illustrated London Newsより

1867年パリ万博。日本の展示の一つである茶店が人気で、六畳間に提灯を吊るし、座敷で芸妓3名がお茶の接待をするなどして人気を呼んだ。Illustrated London Newsより

アントニオ・ガウディによる集合住宅「カサ・バトリョ（Casa Batlló）」（スペイン・バルセロナ）。繊維業で財をなしたD.Josep Batlló i Casanovaより改修の依頼を受け、1906年 ガウディが54歳のときに完成。外壁一面に海をモチーフにしたタイルが貼られている。当時のバルセロナでは目立つ家であることがステイタスだった。2005年、世界遺産に登録。現在の保有者はチュッパチャップス社

アントニオ・ガウディ（Antoni Gaudí） 1852-1926 。代表作の「サグラダ・ファミリア」は1884年に着手し、まだ完成していない

フランク・ロイド・ライト（Frank Lloyd Wright）1867-1959。1,000を超える建造物を設計したアメリカの建築家で、そのうち532が完成。人と環境が調和した設計を重視するべきだという有機的建築（organic architecture）の重要性を唱えた。代表作は、グッゲンハイム美術館、ユニティ・テンプルなど。日本の帝国ホテルや自由学園朝日館も手掛けている

フランク・ロイド・ライトによる「落水荘（Fallingwater house）」（米国・ペンシルバニア州）。アメリカの大富豪であるエドガー・カウフマンの別荘として1935年に建てられた。「滝を眺めて過ごしたい」という依頼によって滝の上に建てられ、自然と調和した名建築として人々に愛されている

ブルーノ・タウトによる馬蹄形の集合住宅「グロースジードルング・ブリッツ」（Britz Horseshoe Estate/ Großsiedlung Britz）（ドイツ・ベルリン）1925-1935。第一次大戦後、領土の損失や軍隊の解体で急増したベルリン人口の対策として、公共の主導で郊外に作られた集合住宅のひとつ

「グロースジードルング・ブリッツ」（Britz Horseshoe Estate/ Großsiedlung Britz）（ドイツ・ベルリン）。カラフルな外壁。集合住宅の中でも場所によってデザインや色合いは様々

ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ（Ludwig Mies van der Rohe）1886-1969。ドイツ生まれのアメリカ人建築家。「less-is-more（より少ないことは、より豊かである）」という彼の考えは、多くの現代建築家に影響を与えた。バウハウスの第3次校長を務めた

ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエによる1929年のバルセロナ万国博覧会のドイツ館として建設された「バルセロナ・パビリオン」。室内には、スペイン国王・王女が座るために、彼によりデザインされたバルセロナチェアが配置されており、モダンデザインの家具として世界的に知られる傑作とされている

ル・コルビュジエによる「サヴォア邸（Villa Savoye）」（フランス・ポワシー）1928-1931。近代建築の五原則であるピロティ（建築要素を2階に挙げ、地上部分を柱を残し外部空間とする建築様式）、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由なファサード（正面）を体現した傑作

ル・コルビュジエ（Le Corbusier）1887-1965。フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエと共に「近代建築の三大巨匠」として位置づけられている

アルヴァ・ア―ルトによる「ヘルシンキ工科大学（アールト大学） オタニエミ・キャンパスの講堂」（フィンランド・ヘルシンキ）

アルヴァ・ア―ルト（Alvar Aalto）1898-1976。1940年撮影。フィンランドの建築家・デザイナー。200を超える建物を設計。また家具や照明器具、生活雑貨などを手掛けた北欧の巨匠

1997年にオープンした、フランク・ゲーリーによる「ビルバオ・グッゲンハイム美術館（Guggenheim Museum Bilbao）」（スペイン・ビルバオ）。アメリカのグッゲンハイム美術館の分館のひとつ。フランク・ゲーリーが始めて手掛けた美術館

フランク・オーウェン・ゲーリー（Frank Owen Gehry）1929-。アメリカを拠点とするカナダ出身建築家

リチャード・ロジャース（Richard George Rogers）1933-。イギリスの建築家。機能主義的でハイテク志向の建築デザインで知られている。レンゾ・ピアノと組んで「ポンピドゥー・センター」のコンペで勝利。建物の内部空間をすっきりさせるため、水道管、電気パイプ、階段などの共用施設を建物外部にさらし出すスタイルを確立させた

リチャード・ロジャースによる「ロイズ・オブ・ロンドン（Lloyd's of london）」。世界最大級の保険会社・ロイズの本拠地。チャールズ皇太子に「まるで工場」と言われた話が残るが、空調ダクトなどを外側に出すことで取り換えや修繕がしやすいなど効率的なデザインは定評があり、代表作には空港ターミナルやオフィスビルなど巨大化している建造物が多い

香港の中環に建つ、世界最大級の銀行HSBCのビル「香港上海銀行・香港本店ビル」。現在の香港を代表する超高層建築であると共に、世界的にも著名なハイテク建築の一例として知られている。香港らしく、地上階のピロティは風水師の指南を受け、『龍の道』を遮らないように設計されたと言われている

ノーマン・フォスター（Norman Foster）1935―。イギリスの建築家

自身が設計した、ロンドン・ブリッジ駅近くのピラミッド型のガラスのタワー「ザ・シャード（破片）」のモデルの前に立つ、レンゾ・ピアノ。イタリアを代表する建築家

リチャード・ロジャースとレンゾ・ピアノにより設計された美術館「ポンピドゥー・センター（Pompidou center）」（フランス、パリ）。ジョルジュ・ポンピドゥー元大統領のパリに芸術拠点を作る構想により建設され、1977年に完成。当時は二人はまだ知られた存在ではなかったものの、現在はそれぞれ建築界のノーベル賞と呼ばれるプリツカー賞を受賞している

デンマークの建築家・Lundgaard＆Tranbergの設計による学生寮「Tietgen Student Hall」（デンマーク・コペンハーゲン）。7階建ての建物の1Fは共用施設となっており、その上部に360部屋の住居がある。12名ずつグループ化されグループごとに使用できる計30の共用キッチン・リビングエリアがある。部屋は円形の外側に配置され景色を楽しむことができ、キッチンなどの共用施設は中庭に面しており、他のグループの活動や暮らしを見る事ができる。また円形状のデザインも学生同士の交流を生んでいる

ルイス・カーンの設計による「インド経営大学」（インド・アーメダバード）。円形とレンガ作りの外観が、緑の芝生に映える。地元の職人を工事に採用するため、簡単な工法で建てられるレンガの外装が選ばれた。光の入り方が計算された開口部は、強い日差しを利用した光のコントラストと深い影が内部に美しい空間を生み出す

ヘルシンキ大学の図書館。ヘルシンキ最大の大学図書館で歴史地区に建設。ファサードにはレンガが使用され、周囲の建物に調和していながら、大きなアーチ型の開口部で開かれた施設であることを伝えている

フィンランドの建築家・Anttinen Oiva Architectsによる「ヘルシンキ大学図書館」。アトリウムは建物の中心部に向かって上昇していくデザイン。読書と大音量のグループ作業の両方が可能な空間があるなど、図書館の将来の需要に対応できる柔軟な環境づくりが目指された

ヘルシンキ大学図書館。図書館の入り口の上の大きな窓の近くの座席エリアのビュー

1898年設立の歴史ある大学ながら、2013年、最新の都市開発エリアに新キャンパスをオープンして話題となったウィーン経済大学。キャンパスには、ザハ・ハディッド（ハンブルク）をはじめ、世界トップクラスの様々な建築家が設計した建物が並んでいる。日本からは、阿部仁史アトリエが参加。写真はピーター・クック率いるCRABスタジオ（ロンドン）設計の大学管理局

イェール大学図書館の一つでグーテンベルク聖書など貴重な本が保管されている「バインネック稀覯本図書館」（米国・コネチカット州）

バインネック稀覯本図書館の内部。光を透過させる薄い大理石パネルとガラスの書架が神聖な雰囲気を生んでいる。アメリカ最大級の建設事務所SOM（Skidmore, Owings & Merrill）のゴードン・バンシャフト（Gordon Bunshaft/ 1909-1990）による設計

ウィーン経済大学の中でひときわ目立つ、ザハ・ハディッド設計の図書館と学習センター

ザハ・ハディッド（ Zaha Hadid）設計の建物内部。垂直な壁がなく、内装は柔らかな流線で構成されている