ととのう温泉力

SPECIAL FEATURE

ととのう温泉力

「温泉」の歴史は古く、紀元前4000年ごろのメソポタミアの浴室までさかのぼる。ローマ時代にも温泉は活用され、3世紀前半に建造されたイタリアの「カラカラ浴場」は、ローマ帝国第22代皇帝カラカラ帝がローマ市街の南端付近に造営した浴場で、ユネスコ世界遺産。ヤマザキマリの漫画作品「テルマエ・ロマエ」は有名。テルマエ・ロマエは、ラテン語で「ローマの浴場」を指す。日本では「古事記」や「日本書紀」にも伊予の湯(道後温泉)、有馬の湯(有馬温泉)、牟婁(むろ)の湯(白浜温泉)についての記述があり、3つの温泉は、いまでも「日本三古湯」と呼ばれる。

Category : 文化

Date : 2023.02.08

参考文献

日本温泉協会
環境省「温泉の保護と利用」
「お風呂の歴史」(ドミニック・ラティ著/高遠 弘美訳/白水社刊)
「水と温泉の文化史」(アルヴ・リトル・クルーティエ著/武者 圭子訳/三省堂刊)

再生可能エネルギーによる温泉の利用

湧き出る温水を資源として活用する動きでは、1904年、イタリアのラルデレロ地方(フィレンツェ南部)で世界初となる地熱発電実験が成功し、1913年には世界初の蒸気卓越型地熱発電所(250kW)が操業された。地球温暖化問題の顕在化で、現在では二酸化酸素を排出しない太陽光、太陽熱、風、地熱、バイオマスなどを利用した発電が注目される。特に火山地帯などの高温な地熱エネルギーによってもたらされる地下温水は、発電に利用されています。日本は世界有数の火山国であり、火山地帯の地熱資源量は2,300万キロワット超で、アメリカ、インドネシアに次いで世界3位。アイスランドでは、地熱発電(geothermal power)で全電力の約11.4%をまかなう。温泉は環境省の定める「温泉法」において、主成分の温度または物質の含有量によって定義されている。

入浴の歴史

日本の入浴は、仏教が伝来した6世紀ごろに中国から伝わったとされる。仏教では「風呂に入ることは七病を除き、七福が得られる」という教えから、入浴は健康に良いものと考えられ、多くの寺院で「浴堂」が立てられ、広く入浴が普及。江戸時代には、公衆浴場「銭湯」が登場し、大勢の庶民が銭湯を楽しむようになった。海外に目を向けると、紀元前4000年頃のメソポタミアで沐浴の浴室が作られ、神殿にも温水の浴室が作られていた。その後の古代ローマ時代の入浴文化は有名で、イタリアの世界遺産にもなっている「カラカラ浴場」はローマ帝国第22代皇帝カラカラ帝がローマ市街の南端付近に造営したローマ浴場。

世界の温泉地とその役割

ヨーロッパでは、古くから温泉を「療法」と捉える。特にドイツ国内には「クアオルト」と呼ばれる療養地が300か所以上ある。ドイツ語で「クア(Kur)」は「治療する」、「オルト(Ort)」は「場所や地域」を指し、「温泉気候保養地などに中長期滞在して、療養・保養をする」ことを意味する。ヨーロッパ全体で健康保養地の人気は高く、全宿泊者数の約46%を健康保養地等での宿泊者数が占める。
有史以来の水と人間との関わりは深く、水にまつわる神話、伝説、儀式から、文学、美術、音楽を媒介にして、多数の芸術作品が生み出された。

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