体育キングダム

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体育キングダム
– 人類の歴史と共に歩むスポーツ –

1978年にユネスコが採択した「体育・スポーツ国際憲章(スポーツ権)」では、体育・スポーツの実践は、すべての人にとって基本的権利。2015年10月1日には、文部科学省のスポーツ・青少年局を母体に、日本スポーツ庁が設立された。
競技を「チャンピオンスポーツ」、健康促進や遊戯的要素を「レクリエーションスポーツ」と分け、「チャンピオンスポーツ」が勝利や成績向上を目的とするのに対し、「レクリエーションスポーツ」は楽しむことが主な目的。
人類の歴史と共に存在してきたスポーツは、紀元前776年に始まった古代オリンピックは有名で、神々への崇拝と競技場として重要な役割を果たし、グラディエーター戦や戦車競走などが人気を博した。中世ヨーロッパでは騎士道や射撃、剣術など武芸が競技化され、ルネサンス期にはフットボールやクリケットなどの球技が人気を集めた。近代では新ルールが制定され、1863年の英国サッカー、1896年の第1回オリンピックを皮切りに、サッカー、バスケットボール、テニス、陸上競技、水泳、野球などが大規模なプロリーグや国際大会を実施。現代では、新たなスポーツやエクストリームスポーツも登場し、スポーツの多様性が広がっている。

古代エジプト・ギリシャのスポーツ

狩猟生活していた先史時代から、獲物を追いかける「狩り」は、最古のスポーツのひとつとされる。古代エジプトの壁画や彫刻には、狩りに加え、レスラーが相手と対戦する様子や、木製のスティックを使って球を打ち、チーム同士が競い合う様子、ナイル川でのボートレースが描かれていて、当時の人々がレスリングやホッケーなどを楽しんでいたことをうかがい知ることができる。
古代ギリシャでは、スポーツは身体と精神の健康を促進し、市民の美徳や美意識を養う重要な活動で、多くの競技があった。なかでも紀元前776年に、オリンピアで初めて開催されたオリンピックは有名で、陸上競技、レスリング、ボクシング、パンクラチオン(総合格闘技の一種)、ホップリティス(長跳び)などが行われた。
デルフィで開催されたデルフィア競技では、陸上競技やチャリオットレースが、ゴリュトン競技では、円盤投げや槍投げが行われたが、アテネで開催されたパンアテナイア競技を除き、多くのスポーツに女性は参加できなかった。

魅せるスポーツの発展

古代ギリシャで1200年近くにわたり、各地で開催されたスポーツ競技祭は、「観るスポーツ」として社会の安定に重要な役割を果たした。また、古代ローマで、大規模な娯楽施設として建設されたコロッセウムは、グラディエーターゲーム、野獣闘技など、広義のスポーツ観戦を市民が楽しむ場として、社会的な統合を促進し、ローマ帝国の支配体制の一部として機能した。
2023年、チケット収入、放映権、スポンサーシップ、商品販売販売に係る世界のスポーツビジネスは、5,000億米ドルを超え前年比5.2%増の巨大産業。日本スポーツ庁の策定した第3期「スポーツ基本計画」は、2025年までにスポーツ市場規模を15兆円に拡大する目標を定めた。

戦闘訓練や気晴らしがスポーツ化

スポーツは、中世ヨーロッパの人々にとって重要な娯楽で社交の場。ロングボウやクロスボウを使った射撃競技や、棒を使って打ち合う格闘技(シュテンツェルン)は、中世ヨーロッパで広く行われた。当初は戦闘技術の訓練や身体の鍛錬手段の一環として始まったが、後に娯楽としても人気を博した。
ジョースティングは、騎士が馬上で槍を使って戦う競技で、中世ヨーロッパの騎士文化の重要な一部だった。ジョースティング大会は、騎士の腕前や勇気を競い合うだけでなく、社交イベントとして開催された。
乗馬、射撃、剣術などは、貴族教育の一環だったが、庶民間でも競走、石投げ、跳躍、競馬、格闘などが村落単位で開催され、「娯楽」や「気晴らし」が「スポーツ化」したとされる。なかでもフットボールが愛好され、地域ごとにルールが異なっていたものの、現代のサッカーやラグビーの原型となるゲームが行われたのも中世といわれる。

近代オリンピックと現代のスポーツ

20世紀に入り、スポーツを通じて国家のアイデンティティや誇りを強化し、国民の結束を促進する思想や動きが台頭。国民がスポーツ選手やチームの活躍を支持し、その成功を自国の成功として受け入れることで、国家意識が高まった。
一方で、世界大戦によるオリンピック大会の中断、東西冷戦によるボイコット、ドーピング問題など、政治利用がスポーツ本来の目的や価値観と相いれず、国際競技大会での政治介入がスポーツの公平性を損なう可能性が指摘された。1916年のベルリン大会(ドイツ)が戦争のため中止されたのをきっかけに、1920年のアントワープ大会(ベルギー)で、オリンピックが「平和の祭典」とされ、五輪マークの旗が初めて使用された。
国際オリンピック委員会は、メダリストに賞金を支払っていないが、雑誌やテレビ報道によると、中国を除く、東京五輪2020(2021年開催)でのメダル報奨金の総額が100万ドル超支給は13カ国・地域。選手への報奨金が一番高額だったのはシンガポールで、金73万7,000ドル、銀36万9,000ドル(金に対し50.1%)、銅18万4,000ドル(金に対し25%)。2位のカザフスタンは、金25万ドル、銀15万ドル(金に対し60%)、銅7万5,000ドル(金に対し30%)。8位の日本は、金4万5,000ドル、銀1万8,000ドル(金に対し40%)、銅9,000ドル(金に対し20%)と、金額や金メダルの重み付けが国によって異なる。報奨金の総額では、イタリア、米国、フランスが上位を占め、日本は6位だった。
現代では、オリンピックは平和と友好の象徴として広く認識され、世界中の国々が価値観を共有。技術革新に応じた審判システム導入に加え、新たなスポーツやエクストリームスポーツも登場し、スポーツの多様性が広がっている。

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